観光名所
龍神・本宮
熊野九十九王子のなかでも特に格式が高いとして崇敬されてきた「五体王子」の一つで、ここから熊野権現・霊域の入り口と呼ばれる重要な場所です。『中右記』の中でも「初めて御山の内に入る」と記述されたように、熊野三山の結界とされるほどの要所と言え、御鳥羽上皇の一行もこの社前で御歌会を催されたと伝えられます。
「滝尻」の名は富田川と石船川(いしぶりがわ)の合流する地点にあり、2つの急流がぶつかりあって石船川の急流が富田川に注ぐ滝のような水音から由来すると伝えられています。富田川はかつて岩田川と呼ばれ、熊野詣の重要な垢離場のひとつでした。岩田川は熊野古道「中辺路」を歩く道者が初めて出会う熊野の霊域から流れでる川であり、熊野詣の道中で最も神聖視された川であったのです。
滝尻王子に至った参拝者たちは奉幣を行い、王子の目の前の流れに身を浸して水行を行ったとされます。観音菩薩の補陀落浄土から流れ落ちてくる岩田川の水と、薬師如来の浄瑠璃浄土から流れる石船川の水で沐浴することで、現世の罪が滅ぼされ浄化されると、滝尻での水行(垢離)の意義が説かれています。
滝尻王子を後に古道を進むと「乳岩」「体内くぐり」と呼ばれる様々な言い伝えが残された場所もあります。まずは向かいにある「熊野古道館」に立ち寄り、古道の歴史を学んでから出発するとより熊野古道が理解でき、古道を歩く意義が深まることでしょう。
入り口の鳥居
拝殿正面
古道案内所では無料休憩もできます
【阪和自動車道南紀田辺ICより車で約1時間】 【JR紀伊田辺駅からバス熊野本宮行きで40分「滝尻」バス停下車】